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2008年6月 7日 (土)

インパクトあればいいってものでもないと思うぞ

 極めて強烈、ぶっちゃけ『気持ち悪い』デザインで一躍有名になりました『平城遷都1300年祭』の公式マスコットであります『せんとくん』。
 そのあまりといえばあまりなデザインに不評続出となりまして、ならばいっそ民間でやっちまえ、なんていう騒ぎにまで発展いたしておりました。
 そんなどたばたの末、民間マスコットとして選ばれましたのが、鹿をモチーフにした『まんとくん』。
 ぶっちゃけその『せんとくん』ありきなネーミングセンスはどうよ、と思うのですが、まあ普通マスコットってこうだよね、と、なんとなしに納得させられました東雲です。
 
 しかし公式『せんとくん』側は作者に500万も払っている以上引くに引けない。
 また、その話題性ゆえに何度も閲覧、結果として見慣れてしまった『せんとくん』派も交えまして、熱い、そしてどーでもいい争いが繰り広げられております。
 
 そんなマスコット騒動でございますが、両者の意見を取り上げております記事を発見いたしましたのでご紹介いたします。
 ご覧下さい。

<以下引用>

「せんとくん」の10倍かわいい!?「まんとくん」

 奈良県で2010年に開催される「平城遷都1300年祭」の公式マスコット「せんとくん」に対抗する形で、市民団体が公募していた民間キャラクターが2日、発表された。寸胴(ずんどう)のシカがマントをはおった「まんとくん」。万葉人や、万人に愛されるようにとの思いが込められているという。強力な?ライバル登場に「せんとくん」側では「個性の強さから言えば非常に弱い。『まんと』なんて奈良のイメージがない」などと挑発的にリアクションしている。

 「まんとくん」は、平城宮の朱雀門をデザインした帽子をかぶったシカの姿で、マントには四季折々の奈良の都にちなんだ模様があしらわれる予定だ。漢字では「万人くん」。万人に愛されるようにと命名され、万葉人や都に満ちる「満都」にもかけているという。

 「1300年祭」を主催する事業協会(奈良県など)が決めた公式キャラ「せんとくん」は「かわいくない」「キモい」などとブーイングを浴び、地元仏教界からも「仏を侮辱する」と批判されてきた。そんなところに奈良のデザイナーなどで作る「クリエイターズ会議・大和」が「選考過程が不透明」と、一般公募を呼び掛けていた。

 パリやニューヨークからも応募があった619点の作品から絞り込んだ30点を、ホームページと街頭で人気投票。その結果、埼玉県在住のデザイナー・クロガネジンザ氏(36)の「まんとくん」が投票総数5万3556票中、トップの5440票を集めた。

 同会議の田中功事務局長は「関係者だけで決めた公式キャラと違い、みんなで選んだ気持ちのこもったマスコット。かわいがっていただきたい。冗談ですが、まん(万)はせん(千)より多いとも言える」と豪語。コラボについて「こちらからってことはない。事業協会は、せんとくんが唯一の公式キャラクター。お認めになったりしないでしょう」と期待していないが、「まんとくん」を含めた応募全作品の展覧会を7月中旬にも開催予定で「せんとくんがふらっと遊びに来てくれるかな。招待状ぐらいは出します」。

 一方、“本家”である事業協会の一柳茂事務局次長は「多くの応募をいただいたようだが、(人気投票で)多くの方が賛同するとなると、トガッたものや個性の強いものは排除されたと思う。ゆるキャラタイプで、せんとくんの個性の強さからすれば非常に弱い印象」とバッサリ。「せんとくんがいるから、まんとくんなんでしょう。まんとなんて奈良のイメージがない」と命名にも厳しくツッコんだ。

 「招待状? 県民の方が選ばれたんですから、訪ねていくくらいはしたい」と余裕。公式行事での競演の可能性についても「主人公は入れ替わらないし、並び立つことはないが、他の県内のキャラなど多くの友達の中の1つとしてならありえるかな」と、あくまでも「上から目線」の立場を崩さなかった。

(2008年6月3日06時02分  スポーツ報知)

<スポーツ報知より引用>

 まぁ、ですね。
 確かに個性だとかインパクトだとかいった点では『せんとくん』に勝るものはないと思いますよ。
 むしろ古今東西のマスコットをかき集めたって、これ以上のインパクト物ってなかなかないんじゃないかと思います。
 実際ウェブ上でも『インパクトが強いからせんとくんの方がいい』なんて意見も散見されますしね。
 
 ただ、ですね。
 インパクトが強けりゃいいってもんでもないと、東雲は思うのですよ。
 極端な話ではありますが、巨根説が唱えられております道鏡をモチーフとした全裸でマッチョな坊さんがマスコットになったらどう思います?
 インパクトはバリ高でしょうが、まず受け入れられないと思いますよ。
 東雲の地元でこんなんをマスコットにするなんて言われたら暴動起こしますね、間違いなく。
 中には『インパクトがあっていいんじゃない?』なんて言う方も出てきそうですが、じゃあ『ソレ』のグッズやらお菓子やらが出たらお前ら買い占めるのか、と問えば首を横に振るでしょう。
 当然です、彼らは単に面白がっているだけですから。
 
 大体にして『マスコット』というものは、インパクトよりも(いや、もちろんインパクトも大事ですが)むしろ『万人受けするか』の方が重要なわけです。
 一次的に『マスコット』の意義と申しますのはその行事(あるいは集団)を表現することであり、平たく言えば宣伝することであります。
 その点だけを鑑みれば、むしろインパクトが重要となり、そういう意味では『せんとくん』の方が優れているかと思います。
 しかし往々にして『マスコット』と申しますものが一次的な意義のみを果たすことはないのです。
 つまりは二次的な意義も満たすものであり、それすなわちキャラグッズであります。
 せっかくイベントに来てもらっても、関連商品を何も買ってもらえないんじゃ地元としては意味がなく、観光客には出来うる限りお金を落としてもらいたいと考えるのは当然のことであります。
 然るに『気持ち悪い』キャラのグッズを売らなきゃならない、地元の苦痛いかほどかという話です。
 まぁ一部の人間がウケ狙いで買っていくだろうことは予想できますが、あれもこれも買っていくかと問われれば『それはどうだろう』と返すほかありません。
 少なくとも東雲は『せんとくんまんじゅう』的なものを食べたりとかしたくありませんね。
 えぇもうなんてうか、生理的に。
 
 また子どもが買って欲しいと、果たして言うかという話でありまして、いかんせん子どもというのは商戦略において重要なファクターでありますから、特にこういった子連れの親子、あるいは爺さん婆さんを引っ張って来れそうなイベントでここを付いていかないというのは愚の骨頂なわけであります。
 公式側は役人決定ですので仕方ないのかもしれませんが、普通の会社ならこういった『子ども受けしない』マスコットをわざわざ選ぶことはないでしょう。
 
 公式側は『多くの応募をいただいたようだが、(人気投票で)多くの方が賛同するとなると、トガッたものや個性の強いものは排除されたと思う』なんて言っておりますが、商品としてみるならば、まさに『多くの方が賛同する』ことこそ重要なわけであります。
 そしてそういった観点からマスコットキャラは基本、『シンプル』で『可愛らしい』ものが好まれます。
 いわゆる『無難』なものでありますが、『無難』とはすなわちそれなりのヒットを狙えるということです。
 『無難』にプラスアルファのインパクトがあれば言うことありませんが、それでもコアな層を開拓するよりは比較的広い層を獲得する方が、少なくとも1イベントのマスコットとしては重要でしょう。
 コア層から継続して利潤を得られるなら別ですが、ね。
 
 ともわれ「主人公は入れ替わらないし、並び立つことはないが、他の県内のキャラなど多くの友達の中の1つとしてならありえるかな」なんて高飛車な公式側ですが、商戦略を考慮するなら早々に迎合しておいた方がいいと思いますよ。

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