『日本の科学力なんて知ったこっちゃありません』ってことか?
最近、ふと気になったことがございます。
民主党の扶養控除廃止と、これに関わる日本の科学技術力の後退についてです。
いきなりこんなことを申しますと『え? 関係ないやん』と思われるかもしれませんが、しかしこんなことが考えられるんじゃないでしょうか。
既に申し上げたとおり、民主党は扶養・配偶者控除の廃止を掲げておりまして、対応する子ども手当ては中学生までですから、それ以上ですと子どもがいたって増税になります。
まぁ『特別扶養控除はなくならない』なんて意見もあるようですが、これも既に書いたように『どこからどこまでなくならないのか』も不明でありまして、そんなもんを主張する前にまず『全額なくならない』という根拠を示していただきたいものでございます。
が。
しかし本稿においてはそれはまったく関係ございません。
何故なら本稿で取り上げる対象が『特定扶養』に当てはまらず、もちろん子ども手当てにも当てはまらない23歳以上だからでございます。
以前、ゆうくんパパ様から『23歳以上の子や、70歳未満の親を扶養していれば増税』とのコメントをいただきました。
これまったくもってその通りでありまして、諸所でも言われていることでございますが、しかしこれに対する反論(?)として『働けニートw』というレスをよく見ます。
まぁ言わんとすることは分からんでもないですが、しかし23歳以上で未就職が必ずしもニートとは限りません。
確かに『特定扶養』は高校から大学相当の親族を対象としておりますが、厳密には生年月日、年齢による制限です。
つまり浪人なり留年なりした場合は扶養控除廃止にヒットしますし、在学中に休学して留学する、なんて場合も引っかかってくる場合がございます。
もっと言っちまえば、ほとんどの大学院生は直撃です。
私も大学院生を6年間やっておりましたが、仮にこの間の控除がなくなっていれば、それだけで240万近くの控除カットになっておりました。
いや恐ろしい。
しかし、実際に恐ろしいのはこれからでございます。
今申し上げましたように、ほとんどの大学院生が扶養控除廃止の影響をまともに受けるわけですが、民主の政策には『大学院教育』に対する支援はありません。
『高等教育』という字面はありますが、どのあたりまでやるのかもさっぱりです。
となれば、大学院進学者が減ってくる、なんてことも十分にありえます。
しかしながら、こと自然科学系に限っていえば、言葉は悪いですが、大卒なんて何の役にも立ちません。
自然科学系で学位取ってるのに営業回された、なんてのもザラです。
私の知り合いなぞ今まで化学系の研究やってたのに、いきなり自動車工場の塗装に回されたと憤っておりますよ。
まぁ某トヨタで、人員削減してたところにエコカー減税などなどの経済対策が効いて人間が足りなくなったってことで一時的ではあるみたいですが。
ともあれ自然科学系卒でも、ちゃんと研究に携わりたければ最低修士、できれば博士なのです。
つーか他の著名な研究者と話しようとするときに修士じゃ相手にしてくれません。
そして研究者にとって議論できないということは致命的なのです。
更に研究レベルで言っても学部卒と院卒なんかでは段違いでありまして、言うなれば学部生は教授のお手伝い、修士でそこに独自色を反映させ、博士でようやっとそこそこに研究できると、そんなものなのであります。
つまり科学技術を発展させるには大学院以上の育成に力を入れなければなりません。
企業でももちろん研究をするっちゃするんですが、企業での研究は工学が主体でありまして、理学に関しちゃ大学が主力です。
理学というのは大雑把に言えば基礎理論の研究、つまりは『道具』を作る学問であり、工学というのはその『道具』を使って『製品』を作る学問です。
つまり実益に結びつくのは工学ですが、工学の発展は理学の発展を土台とするわけです。
然るに大学院進学者、早い話、大学研究者が減ると、当然理学系を研究する人間が少なくなりますから理学が減退。
工学はそれに基づくわけですから、これも減退するわけです。
大学研究者は企業よりもシビアでして、自然科学系では博士号持ってないとほとんどなれません。
修士号では助教止まりでしょう。
学部卒じゃあ、せいぜいが技術職員ですね。
いやもちろんそれぞれ重要な役職ではありますが、いずれも特定のケースを除いて研究の主導権は握れません。
だってさっきも言ったとおり、他の研究者が話聞いてくれないんですもん。
特に他国は厳しいですよ。
『風が吹いたら桶屋が儲かる』ではありませんが、扶養控除廃止は日本の科学技術力に歯止めをかけるものであります。
民主は『高校希望者全入』だのなんだの言ってますが、そんなもん必要ないんですよ。
ぶっちゃけ高校どころか大学出ようが出まいが(一流大でなければ)変わらない昨今、そんなものは時間と金の無駄、ムダ、むだ。
重要なことなので三回(ry
本当にやりたければ、『俺はどうしても学問をしたいんだ』という人間に、その能力を鑑み、大学院以上で補助してやりゃあいいんです。
その方が金も浮くってもんでしょう。
ことさら『教育を受ける権利』なんて喚く戯けがおりますが、『教育を受けるための義務』もろくに果たさない連中にそんなものをかざす権利はありません。
義務を果たして初めて権利が認められるなんてのはもはや常識、元気様のコメントから引用させていただけば『コモン・ロー』でございます。
義務を果たさず権利を主張する連中がおりますが、そういうのは単に我侭と申します。
大の大人になってまで我侭なクソガキである連中が多いことに辟易しますが、改めて『勉強したけりゃまず勉強しろ』と、そのように申し上げましょう。
それが出来なきゃ中卒で結構。
頭動かすより手を動かすことが重要な仕事は山ほどあります。
むしろ勉強しようとも思わん人間に頭使うような仕事をやってほしくありません。
例えばアカポジだって、博士になったから良し、研究者になったから良し、教授になったから良し、と、そんなふうにはなりません。
むしろランクが上がれば上がるほど、それだけ勉強しなきゃならないんです。
最近の動向を知らないような研究者は屁のツッパリにもなりませんよ。
話は逸れましたが、なんにせよ扶養控除廃止して大学院進学を妨げるということは、日本の科学技術を後退させるんじゃなかろうかと、そう思えて仕方がない東雲でございます。
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