科学は魔法じゃねぇぞ
ぽっぽ首相が二酸化炭素25%削減をぶち上げ、米中の参加を促しながらどうにも日本だけが被害にあいそうな昨今。
その無茶苦茶なボーダーになぜ世論が反対しないのか不思議でなりませんでしたが、なるほどようやっと理解できました。
これに関しちゃ研究意義の話もございまして『バカジャネーノ?』とも言い難いのですが、しかし科学屋の端くれとしては一言そういってやりたいところ。
つーわけで本日のお題はこちら。
<以下引用>
「科学技術で解決」は75%=環境や食糧問題-内閣府調査
3月13日17時19分配信 時事通信
環境や食糧、水、感染症、資源・エネルギーといった社会の新たな問題に対し、4人に3人は「さらなる科学技術の発展によって解決される」と思っていることが13日、内閣府が発表した「科学技術と社会に関する世論調査」の結果で分かった。科学技術の発展を期待する表れとみられ、分野別では「医療分野」で貢献すべきだとの回答がトップだった。
調査は、1月14日から同24日にかけて全国の成人男女3000人を対象に実施。回収率は63.9%だった。
<Yahoo Newsより>
もいっちょ。
<以下引用>
科学技術に「関心」最高の63%…内閣府調査
3月13日20時29分配信 読売新聞
内閣府は13日、「科学技術と社会に関する世論調査」の結果を発表した。
科学技術についてのニュースや話題に「関心がある」との回答が63%と、前回調査(2007年)を2ポイント上回り過去最高だった。内閣府では「事業仕分けで注目を浴びたことも影響しているのではないか」と話している。
科学者や技術者の話を「聞いてみたい」との回答も62%(前回比2ポイント増)に上り、科学技術への興味が高い一方で、科学技術への関心と理解を深める機会や場が「十分にある」とする回答は34%(同12ポイント増)にとどまった。
また、「社会の新たな問題は、さらなる科学技術の発展によって解決される」と考える人は75%(同13ポイント増)で、貢献すべき分野を複数回答で聞いたところ「医療」(76%)が最も多く、ついで「地球環境の保全」(65%)だった。
調査は今年1月に全国の20歳以上の男女3000人を対象に行い、1916人が回答した。
内閣府の津村啓介政務官(科学技術担当)は「予算獲得が厳しくなる中、国民の高い関心や期待を維持するには今後、相当な努力が必要になる」と話している。
<Yahoo Newsより>
とりあえず一言言っておく。
科学は魔法じゃねぇよ?
どうにも勘違いしておられる方が多いようですが、自然科学というのは自然現象について理論を構築し、その理論を元に応用していく学問です。
すなわち魔法のような超自然現象を実行することはできません。
『それでも科学なら、科学なら何とかしてくれる!』なんて言うのは自由ですが、現状は今まで月1万の生活費を6千円に削れと言われているわけで、ただでさえ切り詰めている状況から更に、なんてのは魔法でも使わなければ不可能です。
大体にして『まったく新しい理論』なんてものはニュートンの古典力学然り、アインシュタインの相対性理論然り、1~2世紀にひとつ出てくれば良い方であり、大抵の研究は以前の研究を応用、修飾したものでございます。
だって『効率が1%向上した』で論文になる研究だってあるんですよ?
それを『50%くらい上げて』なんて言われたとしても『無理』と答えるしかありません。
確たる根拠があって『さらなる科学技術の発展によって解決される』と言うならいいのですが、おそらくこの大半は『なんか科学って凄そう』って感じで、状況をまったく理解していないでしょう。
自然科学には越えるのが極めて困難なボーダーというのが存在します。
それを越えろというなら、『ではあなた方はどれくらいの増税に耐えてくれるの?』という話になってきますよ。
研究には実際、洒落にならないほどの金がかかります。
電子顕微鏡で億単位行きますからね。
主婦が便利道具発案するのとはワケが違うんです。
『科学者や技術者の話を「聞いてみたい」との回答も62%(前回比2ポイント増)に上り、科学技術への興味が高い』とはまた結構なものですが、しかし『科学技術への関心と理解を深める機会や場が「十分にある」とする回答は34%(同12ポイント増)にとどまった』あたり、ホントにきちんと調べているのか、と、東雲なんかは問いたい。
問い詰めたい。
小一時間問い詰めたい。
お前ら単に『ちゃんと考えてますよ』アピールしたいだけなんじゃないかと。
だって我が国には多くの自然科学系学会が存在するんですよ?
講演聞くだけならどこかの大学や自然科学系の会社に所属する必要はありません。
それどころか学会に所属しなくたって聞くことはできます(非会員だと参加費以上に高いけどね)
それに学会所属してりゃー、セミナーに参加する機会だって巡ってきます。
東雲だって日本化学会や高分子学会などいくつかの学会に所属しておりますよ。
もし『いきなり専門的な話言われても分からない』というのなら、時代を追って勉強していけばいい。
中学レベルから分からない(もしくは忘れている)ならば、中学校理科の参考書があります。
高校理科系の参考書があります。
大学1~2年レベルで用いられる入門書的理学書があります。
(有機化学ならマクマリーやモリソン・ボイドあたりが簡単で代表的)
ある分野の全般的な話を専門的に勉強したいってんなら総説を読めばいい。
東大や東工大ならほとんどの理工学系雑誌が置いてありますし、これら大学の図書館は学外利用を許可してます。
しかも無料(コピーはもちろんコピー代かかりますが)
加えて大学教授などは自身の研究内容や業績をウェブサイトに掲載してることがございまして、それを参考にしていく事だって可能です。
そしてこれらのことは、ちょいとネットでも調べりゃ簡単に分かる話でございまして、上述の結果はそれすらしてないんじゃないかと思うわけです。
まさか科学者が自宅訪問して科学について噛み砕いて説明してくれるとでも?
バカジャネーノ?
アクティブに行動してもいないくせに『理解を深める機会や場がない!』ですか。
で、『なんか分からんけど科学は凄いから大丈夫』と。
ホントめでてぇノーミソしてるな
それでもなお言うのなら、せめて、せめてではありますが、ここ数年のノーベル化学賞や物理学賞がどういう研究によって与えられたか、ただ『導電性ポリマーを開発した』とかでなく、それに関わる理論も含めてある程度説明できるようになっていただきたいと、東雲なんぞはそのように思います。
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