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2011年5月14日 (土)

硫化水素について

 随分とご無沙汰しております、東雲です。
 今年より個人塾を開業いたしまして、その関係でなかなか更新できない昨今、歯がゆいことですが、如何せん東雲もおまんま食わねば生きていけませんため、突っ込みどころ満載の記事を見ても筆を取れない状況でございます。
 しかしこの度『2011年5月11日 (水) 07時38分』様より、先稿『はた迷惑な毒ガス自殺』についてコメントいただきましたので、それに関する記事はお答えしなければと、書かせて頂きました。
 とゆーわけで本日は政治ネタより離れ(つーかそもそも、よろずブログを謳っていたはずではあるんですが)、ちょいと化学的なお話です。
 
 さて、先稿にて硫化水素自殺の際の『毒ガス発生 扉を開くな』という張り紙の馬鹿馬鹿しさと、硫化水素の危険性を記したわけですが、『2011年5月11日 (水) 07時38分』様より
 
 1.何故、「毒ガス発生~」の張り紙が馬鹿げているのか
 2.1に関して、硫化水素が空気より重いことに関しての相関関係
 
 とのご指摘をいただきました。
 
 1に関しては、そもそも危険性の高い毒ガスを、まず密閉など不可能な状態で発生させておきながら、警告なんて真似をしているのは馬鹿馬鹿しい、という話でありましたが、なるほど2について述べたほうが、より理解しやすいかもしれません。
 これに言及されているあたり、『2011年5月11日 (水) 07時38分』様は化学的知識をかなりお持ちなのではと推察しております。
 
 さて、そんなわけで、何故、硫化水素が空気より重いことが、「毒ガス発生~」の張り紙を、より馬鹿げたものにしているのか、という話に関しまして。

 そも先に触れましたとおり、「毒ガス発生~」の張り紙というものは、ガスの発生源を密閉できることを前提としていますが、これは先に述べたとおりほぼ不可能でございます。
 そもそも硫化水素分子といいますのは、数オングストロームのサイズ、皆様のよくご存知なミリメートルで表せば、0.0000001ミリメートル
 それに対してガムテープ、というか紙には0.001ミリメートル程度の微細な穴が開いております。(ちなみに布はもっと大きい)
 そのサイズ比およそ一万倍でございまして、そんな巨大な穴が開いたもので微細な硫化水素分子を止められるかといえば、答えは否でございます。
 紙を水にぬらすと裏面に染みるでしょう?
 あれは水分子(厳密に言えば水分子の集合体)が、紙の穴を通って裏面に出ているから起こる現象です。
 あくまでじんわりとでございますが、一般生活で手に入れられるものでガスすら閉じ込める密閉空間を作り出すのはほぼ不可能です。
 まぁ、よっぽど頑張れば無理で無いかもしれませんが、だったら首吊ったほうが早い気がします。
 
 閑話休題。
 
 さて、そんな状況ですが、しかし『ある程度なら』ガスを閉じ込めることは可能です。
 完全密封ではありませんが、室内のガス濃度を外より極端に上げることは、実のところ容易なのです。
 つまり、そういった空間であれば、軽いガスだろうが重いガスだろうが、ぶっちゃけ関係ありません
 分かりやすい代表例としては一酸化炭素中毒があるでしょうか。
 火災時の主な死因の一つですが、一酸化炭素は空気より軽いものです。
 さらにあれは物が不完全燃焼することで発生しますので、当然熱を持っており、熱を持つ気体はより軽くなるわけですが、それでもやっぱり死亡者が出ます
 別に自殺を促進つもりはさらさらありませんが、結局自殺者にとっては硫化水素自殺だろうが練炭自殺だろうが関係無いのです。
 
 しかしながらこの硫化水素と一酸化炭素、後始末については扱いが大違いとなります。
 既に述べましたとおり、一酸化炭素は空気より軽いものですから、密閉状態を解除してやれば比較的速やかに拡散していきます
 しかしながら硫化水素は空気より重いため、密閉状態を解除したとしても、しばらくそこに滞留しているのです。
 毒ガスが一気に散ってくれるのと、ずっとそこに残るの、周りの人にとってどちらが好ましいかという話でありまして、そんな迷惑千万極まりない物を撒き散らしながら「毒ガス発生~」とは何の冗談か、と、東雲なんぞはそう思うわけです。
 
 大体、人間なんぞ酸素濃度をちょっと低下させるだけでポックリ逝っちまうわけで、わざわざ毒性ガスなんぞ使う理由が、東雲にはさっぱり分かりません。
 周りに無害かつ比較的楽に死ぬ方法なんぞ、いくらでもあるんですよ。
 まぁそんなこと書いて自殺者増えて『東雲の責任だ!』なんて言われちゃたまりませんから、詳しくは書きゃしませんが。
 
 正直、親から貰った命を無駄にするような不忠者なんぞどうでもいい上、本件に関しては連中、第二次被害を振りまいている犯罪者でございますため口汚く罵りますが、楽に死にたきゃ必死こいて勉強しろ、と、そう思わずにいられない東雲でございます。

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